日本の特徴
日本人の乳房は、その体型の違いから、欧米と比べ脂肪の割合が少なく、
わりと小ぶりで張っていることが多い。
- このような乳房はマンモグラフィで痛みを感じることが多く、配慮が必要。
- そしてマンモグラフィで提供できる情報が少なく、見落としの危険性も高い。(高濃度乳房)
問題
日本では40代から50代にかけて罹患率のピークがあり、
また若年者乳がん(20代)も増加している。
- 若い方にも乳がん検診を受けてほしいが、若い方の乳房は乳腺の割合が多く、張っている。
このような乳房は痛みを伴うことが多く、配慮が必要。 - そしてマンモグラフィで提供できる情報が少なく、見落としの危険性も高い。(高濃度乳房)
問題
じゃあ、どうするの?
痛いのを我慢してマンモグラフィを受けたのに、
見落とされたりしてはたまらないわ・・・
それでも、受けたほうがいいみたいだし・・・
マンモグラフィではこのように乳房内を写し出します。
乳房の中は人によってこんなに違います。
その違いを、高濃度・不均一高濃度・乳腺散在・脂肪性と大きく4つに分類しています。
高濃度乳房とは
乳房は乳腺と脂肪により構成されていますが、このうち脂肪の割合が2割以下のものを高濃度乳房といいます。つまり、先ほどお話した、脂肪が少なくマンモグラフィで強い痛みを伴う日本人乳房のことです。
乳腺は加齢とともに徐々に脂肪に置換されていきますが、日本人は痩せ型が多いこともあり、
脂肪の割合が少ないのが特徴といわれています。
実際の経験からも、高濃度から乳腺散在の乳房構成が圧倒的に多く感じます。
見落としの危険性があるのは分かったけれど、
他にこれを補ってくれる検査は無いのかしら・・・
Answer
乳腺エコーの併用をお勧めします!
乳腺エコーでの乳腺の見え方
全て正常な乳腺です。
乳腺の構成やパターンは人それぞれで、顔や体型が違うように、乳腺の模様も異なります。
エコーの物理的特徴(装置の特徴)により見えにくい腫瘤もありますが、基本的には腫瘤を明瞭に描出することができます。ただし、特に小さな腫瘤になると、正常な乳腺の模様と腫瘤との判別が困難な場合もあります。
エコーはリアルタイムでの検査です。術者が画面上に病変部をどのように描出し、何を疑って操作したのかが非常に重要なポイントになります。
じゃあ、乳腺エコーをすればマンモグラフィは必要ないのかしら?
マンモグラフィは痛いし、なるべくしたくないわ・・・
見落としの危険性があるのは分かったけれど、
他にこれを補ってくれる検査は無いのかしら・・・
Answer
マンモグラフィも絶対必要です。
それは、乳腺エコーでは写し出す事が非常に難しいがんの形態があるからです。
痛いからといって避けてはいけません!
エコーでは細かな石灰化は非常にみえにくくなります。
マンモグラフィで石灰化としてのみ描出される乳がんはごく早期です。
乳がんのいろいろ
乳がんには様々な組織形態があります。一言で“乳がん”といっても様々な形や見え方があります。
一般的にいわれる“しこり(腫瘤)”は乳がんの一つではありますが、全てのがんが成長すれば、しこりとして触れるようになるわけではありません。
小さなしこりとして現れる乳がんは乳腺エコーが描出に優れていますし、
小さな石灰化として現れる乳がんはマンモグラフィが描出に優れています。
しこりも石灰化もある程度大きくなり範囲が広がってくれば、どちらの検査ででも容易に見つけることができますが、
初期の段階では片方の検査でのみ異常を指摘できる場合が少なくありません。
一概には言えませんが、乳がんは10mmの大きさになるまで7-8年の歳月を要するといわれています。
マンモグラフィと乳腺エコーを組み合わせると、
検診で乳がんを見落とす危険性は非常に低くなります。